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ホール・ニュー・ワールド(A Whole New World)/ピーボ・ブライソン(Peabo Bryson)&レジーナ・ベル(Regina Belle)

A Whole New Worldのコード進行(フル・コーラス)MIDIデータ 
A Whole New Worldのコード進行(フル・コーラス)PDF書類   whole_new_world_chord.pdf へのリンク
A Whole New Worldのエレピの伴奏コピー(フル・コーラス)MIDIデータ    
A Whole New Worldのエレピの伴奏コピー(フル・コーラス)PDF書類  whole_new_world_ep.pdf へのリンク 
 
ディズニーのアニメ映画「アラジン」で歌われたバラード曲、A Whole New Worldです。
美女と野獣同様アカデミー賞の歌曲賞をとった有名な曲です。
一般に、バラード曲は、テンポがゆったりとしているので、1拍1拍に、コードのニュアンスを付けやすく、曲に細かいコードの動き(1拍ずつコードが変化する)が見られます。
この曲は、その「細かい動き」のよい例の一つだと思います。曲は1Chorus,A(4小節)A(4小節)B(4小節)B'(4小節)の16小節で構成されています。
一見、短いと思いがちですが、スロー・テンポである故、短さは感じません。
この手の曲によくあるのですが、転調を上手く使い、曲をドラマチックに盛り上げています。1st ChorusはKeyがBb、2nd ChorusはKey がDbに上がります。
音楽理論ではこのような転調をDirect Modulation(ピボット・コードや転調の前に新しいキーのドミナント・コードを入れるなどのテクニックを使わず、突然、転調する方法)と呼んでいます。
基本的にはコーラスの始めに転調をおこなうので、曲のクライマックス部分によく使われるテクニックです。




概して転調の時に意識することは、次の調との共通音です。
譜面上のリハーサル・レターCにおいて、その前までのキーBbからDbに転調しますが、メロディの出だしはF音です。
この音は前のキー(Bb)の5度の音です。この音を橋渡しにしてスムーズにメロディが転調をおこなえるのです。
もちろんハーモニー的にもBbコードとDbコードはI(トニック)からbIII(モーダル・インターチェンジ・コード)という関係でもあり、コード進行上もスムーズな進行となります。

間奏(リハーサル・レターD)の部分では、キーがAになります。
最初のコードAはその前のキー(Db)ではbVIというサブドミナント・マイナー・コードとしての役割があり、ディセプティブ・レゾリューション・コードとしてよく用いられます。
ディセプティブ・レゾリューションとはそのキーのドミナント・コード(V7/I)が本来進行すべきトニック・コードへ進行せず、IIIm7、VIm7(これらのコードへ進行する時はディセプティブ・ケーデンスー偽終止と呼んでいます)やbVIMaj7、#IVm7(b5)、bIIMaj7、bIIIMaj7、IIIm7(b5)等に進行する事を指し、これらのコードをディセプティブ・レゾリューション・コードと呼んでいます。




4小節の間奏の後のリハーサル・レターEでキーはDに転調します。
Eの1小節前のコード、GMaj7/A(A7sus4にテンション9thと13thが入ったコードです)はDキーでのコードと考えます。
GMaj7/AはEの4小節目の3,4拍に入るコードで、このコードを使って、上手くDキーに転調させているのです。ピボット・コードによる転調と考えるとすると、この場合その手前(Dセクションの2小節前のF#mがピボット・コードと考えられます。)






エンディングに向かうEの8小節目ではIV7を上手く使用したコード進行が素晴らしいです。
ここでの本来のコード進行はBセクションの最後の2小節(8小節目、9小節目)のコード進行ですが、新しいコード進行を展開させ、曲にアクセントをつけています。Eセクションの第8小節目からのコード進行がそれです。
G7(#11)はつぎのF#m7 (IIIm7)に半音進行で解決するドミナント・コードです。このコードはIIIm7へ5度進行で解決するセカンダリー・ドミナントであるV7/IIIの代理コード(Substitute Chord)という機能を持ちます。
と同時にブルース・コードであるIV7の機能も持ち、サウンドに非常にジャジーな雰囲気を与えます。また3拍目のA#dim7は次のBm7へ向かうアプローチ・コードとしての役割を持ち、スムーズなコード進行を作っています。
9小節目のコード進行はBセクションの8小節目のコード進行と基本的には同じコード進行です。Bセクションではその後トニック・コードに進行しますが、ここでは先程述べた、ディセプティブ・ケーデンスを使い、I(トニック・コード)ではなくVImへ進行します。10小節目はライン・クリシェと考えてもよい進行です。
面白い部分は、12小節目です。本来使うべきコード、つまりこの2/4拍子に現れるべきA7sus4というコードを提示しないというアイディア。提示する必要が無いという判断は、素晴らしいと思います。




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