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Celine Dion (セリーヌ・ディオン) Peabo Bryson(ピーボ・ブライソン) /Beauty and the Beast(美女と野獣)
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Beauty and the Beastのコード進行(フル・コーラス)MIDIデータ |
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Beauty and the Beastのコード進行(フル・コーラス)PDF書類 |
beauty_and_the_beast.pdf へのリンク |
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ディズニーの映画「美女と野獣」のエンド・ロールで流れる有名な曲(アカデミーの歌曲賞をとっています)です。劇中にも出てきていますが(ポット夫人の独唱として)、よりポップスのバラード曲としてアレンジされデュエットで歌われています。
作曲者のアラン・メンケンはディズニーの仕事を多くしている、職人のような作曲家です。ジョン・ウィリアムスのように派手な事はしないのですが、彼の音楽は映像とのバランスがよく、僕の好きな作曲家の一人です。
さて曲の話に移ります。曲の構成としてはAA'B形式ですが、男女のデュエット曲として非常に緻密に構成されています。まずイントロから見てみると、このイントロを構成するメロデイが2つの呼応する(お互いに呼び合う)メロデイから出来ていることがわかります。
さらにその2つのメロディというものが曲の冒頭の部分のフレーズと曲の最後の部分のフレーズであり、そこに明確なポリシーを感じます。
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イントロもそうですが、Aセクションの前半部はペダル・ポイントというテクニックを使っています。コード進行にかかわらずそのキーのトニック音あるいはドミナント音を奏するテクニックですが、ポイントとして、どこでそのテクニックを止めるかが重要になってきます。
ここではメロディの音域が上がっているところでブレイクしています。この曲はドラマチックに仕上げられている曲で、まず歌い手としてやや低い音域で語りかけるように始まり、メロディが中高音域に展開していきます。
特にイントロからのペダルポイントにより、ゆったりとした雰囲気が漂う中、メロデイの新しい展開に合わせるように、ペダルポイントがブレイクするので、一層メロディが引き立つと思います。
メロディとペダルポイントの関係(A セクション) |
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この曲は男女で歌うデュエット曲なのでお互いの音域に合わせ、かつ後半に向かいドラマチックに仕上げなければなりません。
もちろん音域に合わせるため、リハーサルレターA(セリーヌのソロ)B(ピーボのソロ)に見られるように、2人の音域に合わせるための転調がおこなわれます。
通常、転調は盛り上げるため、半音上や全音上などにキーを上げます。(そうしないと聴き手にキーが上がった感じを与えられません)しかしここではキーがFからDと短3度下がっているのに、キーが上がったような高揚感が得られます。
これはピボット・コードを使用して転調しているためであると思います。ピボット・コード転調は前後のキーで機能を持たせる転調のテクニックで、ここではAセクションの最後のコードC7がピボット・コードとなります。
C7は前のキー(Key of F)ではV7/Iという機能を持ち、後ろのキー(Key of D)ではbVII7というサブドミナント・マイナー機能を持つコードです。
このコードを使用すると次のキーへルート音が全音上にアップさせることができます。それゆえキーがFからDと短3度下がっているのにキーが上がったような感じを与えることができると私は思います。
AセクションからBセクションへの転調 |
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Bセクションのメロディは男性ボーカルのメロディです。
通常男性ボーカルのメロディの記譜は
1オクターブ上に記譜します。つまり実際出てくる音はこのオクターブ下となります。 |
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曲の構成においても緻密な計算がなされています。まずAメロではセリーヌ(女声)のソロ、引き継いで次のA'メロ(リハーサル・レターB)では、6小節ピーボ(男声)のソロ、最後の決めのフレーズを2人で歌います。
その流れのままBメロすなわちサビのセクション(リハーサル・レターC)を2人でコーラス、そのままAメロのコード進行をモチーフとした間奏に入ります。
間奏はひろがりのあるオーケストラっぽいサウンドを出すため、オーボエやホルンを用いています。もう一度サビのセクション(リハーサル・レターE)に入ります。
ここでは2人のコーラス、ピーボのソロ、2人のコーラス、セリーヌのソロとお互いの見せ場が与えられています。リズム的なだましのテクニックを使い盛り上げ、再びAメロ(リハーサル・レターF)をセリーヌが歌い始めます。
ここで最初の歌いだしのセリーヌのキー(リハーサル・レターA)と比較してみると、全音上のキーに上がったことが分かります。(リハーサル・レターBと比較してみると、ピーボのキーも同様に次のA'メロ「リハーサル・レターG」で全音上がっています)
このように一見法則性がないようにみえる転調も女声、男声を考えるとそれぞれ全音上に上がり、高揚感があるのです。なかなか考えられたアレンジといえます。
曲における歌の構成 |
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セリーヌのAメロにおける転調 |
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ピーボのA’メロにおける転調 |
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曲を創作する際、クライマックス・ポイントを考えてメロディを作っていかなければならない、という考え方があります。
クライマックス・ポイントとは、メロディの最も高い音、リズムの仕掛けがあるポイント、和声的に特異なポイント、などがありますが、通常は最も高い音があげられます。
曲の中でメロディの一番高い音は曲のいろいろな部分に何回も出てくるのではなく、一般的には曲の後半部分に1箇所出てくるように作曲します。
この曲でのクライマックス・ポイントはリハーサル・レターFの6小節目に現れます。そこではメロディだけでなく、コード進行上(細かいコードの動き)、アレンジ上(ストリングスの高音域でのフレーズやティンパニーのアクセント)でもクライマックス・ポイントを意識した創りがなされています。
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この曲のエンディング(リハーサル・レターH)では、昔からよく使用される#IVm7(b5)を使ったエンディングのコード進行(6小節目)があらわれます。リタルダンドもかけているので、1拍ずつの変化が非常に綺麗に聴こえます。
4拍めのコードはさらにメロディ音のテンションの変化(ナチュラル9thからb9thへの変化)で曲の細かい表情が付いています。
次の8小節目の3拍目はコード進行というよりは1音ずつVoicingしたものと考える方がよいと思います。もとのコードはF#m7-B7と考えられます。
Hの5小節目から7小節目にかけてのコード分析 |
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Hの7小節目 |
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参考資料 |
Key of F のダイアトニック・コード |
Key of Dのダイアトニック・コード |
Key of Gのダイアトニック・コード |
Key of Eのダイアトニック・コード |
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